野党

イラクへの自衛隊派遣承認案が衆院を通過した.与党は野党欠席のまま採決に踏み切ったけど,これは防衛庁長官の答弁撤回がきっかけらしい.いつも思うのだけど野党は法的な手続き論を持ち出したり,演説の言葉尻を捕らえて批判したりするばかりで,「なぜ反対なのか」,あるいは「そもそも賛成なのか反対なのか」という肝心の部分がよく分からない
昨年末の閣議決定の際,小泉首相は次のような説明をしていた.

イラクは混乱していて,各国からの協力を必要としている.そして日本が責任ある対応をするには,資金協力だけでなく人的な貢献が必要である.イラクは未だ安全とはいえないので,危険を防止する能力のある自衛隊を送るべきだ.

僕はテレビで小泉首相が演説をしているのを聞いて,結構納得できた記憶がある.ワンフレーズ・ポリティクスとの批判に答えるために説明責任を果たしたのかもしれない.

しかし、原油の9割近くを中東に依存している事実も、核や日本人拉致事件など北朝鮮をめぐる問題の解決に米国の理解と協力が欠かせない事情も、衆院選に与える影響を考慮して7月にイラク復興支援特別措置法が成立してから今まで派遣決定を見送ってきたという背景にも触れることはなかった。
(日本経済新聞コラム「孤独な宰相の説明責任」03/12/15)

演説の内容自体はそれなりに説得力があるし,おそらく事実に反するわけでもないのだと思う.しかしコラムで触れられているように,「あえて言及しないことによるウソ」は多々含まれている気がする.そして野党はそのような部分を指摘して,説明を求めることこそが必要なんじゃないのかな.