ホバート→セントクレア湖

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15:00-18:00 ホバート→セントクレア湖(バス)

10時に宿をチェックアウトした後,バッテリーポイント等をめぐりSubwayで昼食.その後アウトドア用品店やスーパーマーケットに行き,14時過ぎにセントクレア湖行きのバスターミナルに行く.

カウンターでロンセストンに別送してもらう自転車について尋ねると,表に止まっているバスのトランクにそのままで積み込むようにといわれる.そしてしばらく待っていると,なにやらアナウンスが流れて皆がバスに乗り込んでいく.自分もそれに続いて自転車を積み込んだバスに乗車する.しばらくしてバスの扉が閉められ,ドライバーがアナウンスをはじめる.

その頃,何となく嫌な予感がしていた.国立公園に向かうバスなのに,乗客の服装がどうも皆軽装に見える.そしてアナウンスの英語はよく聞き取れないのだけど,それでもひと言も「セントクレア湖」の言葉が出てこない…まさに発車しようかという時に,僕は運転手に声をかける.「ねえ,このバスってひょっとしてセントクレア湖行きじゃないの?」

やはり,このバスはセントクレア湖行きではなくて,ロンセストンへの直行便であった.自転車を積み込んだバスなんだから,これに乗ればいいんだと思い込んでしまっていたようだ.バスから降ろしてもらい,山歩きのザックだけをトランクから取り出してもらう.バスはそのまま発車して,すぐに僕の乗るべきバスがやってきた.

セントクレア湖行きのバスで隣に座ったタフそうな男が「自分はオーバーランドトラックを歩く予定なんだ」と話しかけてくる.おそらくは先ほどの一部始終を見ていて,僕も同じだと分かったのだろうと思う.彼の名前はカーウィンといって29歳のイギリス人だった.そしてイギリスでアウトドア用品店チェーンの一店舗でマネージャーをやっているんだといっていた.高校を出てすぐに今の仕事に就き,今年は勤続10周年で1年間の休暇をもらい,マレーシア,オーストラリア,ニュージーランド,そして南米の国々をめぐって,各国で山歩きをやるつもりなんだといっていた.

一緒に歩く仲間を求めているのだろうけど,プランを聞くと自分が1日分の行程をボートでショートカットした上で6日かけて歩こうとしているのに対して,彼はボートも使わずに5日で歩きとおすつもりなのだという.自分は長期間の縦走の経験がなく,どの程度のスピードで歩くことができるのか把握できていなかったのだけど,それでもちょっと体力差があるんじゃないかと懸念していた.だから「自分は明日はボートを使うつもりなんだ…」と,それとなく一緒に歩くことはできないんだという態度を示した.

しかしバスがセントクレア湖のビジターセンターに到着すると,彼はすぐにカウンターに行って2人分のボートのチケットの予約をはじめた.彼はボートを使うことで妥協して,自分と一緒に歩くことを選んだようだった.そういうことだったらと,自分も1日短縮して彼と一緒に歩くことで覚悟を決めた.

キャンプ場でテントを設営した後,レストハウスに行ってビールで乾杯する.ジョッキが大小あるらしく「どっちにする?」と聞かれ,何となく「大きい方で」と言ってしまう.結局2杯で自分は完全に酔っ払てしまい,ヘロヘロになってテントに帰り,シャワーも浴びずにそのまま寝袋にもぐりこんだ.

《写真:カーウィン.3月7日にエリシア湖畔にて撮影》