トライアスロン珠洲大会

珠洲トライアスロンのBタイプに参加。
スイム1.5km、バイク50.1km、ラン10kmと、オリンピックディスタンスより少し長めの大会。
http://www1.ocn.ne.jp/~suzu-tri/toraiasuron/
バイクコース中に高低差250m、最大斜度12%の大谷峠があることが難所とされているけれど、今回の自分の最大の課題は、(能登半島に囲まれた内海とはいえ、)波のあるコースを泳ぐスイム。過去に出場した石垣島のスイムは港の堤防の中なのでほとんど波はなく、また竜洋では、(恐ろしく水質が悪いとはいえ、)池の中を泳ぐコースだったので波とは無縁。

Bタイプのスタートは、Aタイプのスタートの2時間半後であるため、朝トランジットエリアに自転車をセッティングしている頃に、Aタイプの選手たちがスイムを終えて戻ってきていた。丁度自分がセッティングをしているところに、一緒に出場していた大学のクラブOBと、行列のできる法律相談所の菊池弁護士がほぼ同タイミングで戻ってきていたりした。

珠洲の海は美しい。写真はレース前日の夕暮れ時に撮影したもので、海も凪いでいる。レース当日の朝も同じぐらいだったのだけれど、Bタイプのスタート時間が迫るにつれて、徐々に波が高くなってくる。入水チェック前に、コース隣で練習で泳いでいたのだけれど、波の高さが高いときには50cmくらいある。
Bタイプのスタート直前、スタート台にタレントのヒロミが立ち上がって話し始める。ゲスト選手としてBタイプに一緒に参加するはずだったのだけれど、参加を取りやめてランだけを走ることにしたとのこと。ご本人は「こんな波では…勘弁してください」と冗談のように言っておられたけれど、理由は不明。
自分は最終のウェーブで泳ぎ始める。最初100mは遠浅の海を歩くようにして進み、300m地点までは沖に向かって泳ぎ続ける。が、やはり波に向かって泳ぐのが初めての経験で、息継ぎがうまくできずに海水を飲んでしまったり、なかなか前へ進めなかったりで苦戦をする。300m地点にようやくたどり着いて後ろを振り返ると、もう数えるほどの人しかいない様子。
300mから折り返し地点までは、海岸線と水平に泳ぐコース。水深は10m弱かと思うのだけれど、かなり水が澄んでいて底がよく見える。水中で下を見下ろすと小魚の群れが泳いでいるのがよく分かるし、水中から横を見ると、太陽に照らされた一面青の水面が見えてとても気持ちよい。
しかし、実際には横から押し寄せる波に体を揉まれて、コースロープにつかまったりしながら試行錯誤を繰り返してもがいていた。折り返しに達する頃には「息継ぎは陸側を向いてしたほうが水を飲みにくい」など、なんとなくコツをつかめたような気になる。そして何より「波に体を揺さぶられたり、海草が腕に絡まったり、コースロープにぶつかったり、息継ぎに失敗して塩水で喉が焼けるようにと、どんなに状況が悪かったとしても、(プールでの練習と同じように)落ち着いて腕を掻き続けさえすれば、着実に体は前へ進むのだ」という、酷い状況の中での冷静さのようなものも取り戻すことができるようになる。
折り返し地点を越えると、「波酔い」という次なる危機が迫ってくる。
以前ダイビングにいったときに、同じように波酔いの症状に襲われて、そのときは酔い止めを飲んで事なきを得たのだけれど、今回はまだ600m以上も泳ぎ続けなければいけない状況で、逃げ場がない。気分の悪さを抱えながらも進んで、何回目かにコースロープにつかまったときに、「これはもう駄目だ」という状況になって、水中に顔をつけてゲーっとする。目の前には朝に宿で摂取したオレンジジュースが、鮮やかな黄色の輪を描いて漂っていく(汚い描写を失礼)。二度程戻してコースロープにつかまって休むと、随分と落ち着きを取り戻せてくる。
カヌーに乗ったライフセイバーの方が様子を確認しに近づいてきていただけていたようなのだけれど、体調も戻ってきたので再び泳ぎ始める。その後は、苦戦をしながらもそれなりに泳ぎ続けて、なんとかスイムアップできる。
後で記録を確認すると、スイムに58分を要していて、360人ほどの参加者のうち、スイムをクリアした人の中で下から4番目の成績だったと判る。そのほかスイムでリタイアされた方も5名ほどいたようで、いずれにしても随分と遅い記録。バイクへのトランジットの所でヒロミが応援に立って声を掛けてもらえたのだけれど、へばっていた自分は碌に返事を返すこともままならない。

バイクコースは、とにかく景色が良い。能登半島の先端部分を海岸線沿いにずっと走るのが前半。とても気持ちが良いし、沿道の方はよく声を掛けてもらえるので、ありがとうございますと言いながらひたすらに走る。スイムの成績がビリの方なので、バイクで前走者を次々に抜かしていく。
大谷峠は確かに勾配はきついけれど、禁断のトリプルギアのインナーを使うことで、着実に進んでいける。前走の人は自転車を降りて押している人がいたり、大きく蛇行を繰り返したりしながら進んでいる人もいる。(自分がトリプルギアで楽をしているので、棚に上げて話せるのだけれど、)道路占有をしていない公道上のレースなので、やはり辛くても車道真ん中をフラフラ走るのは結構危ない気がして、たまにとおる通過車両も困惑しているように見受けられた。
大谷峠越えの後は、よく整備された県道を下り基調で走り続けて、再びトランジットエリアに戻る。

ランについては暑さによるバテと、足裏の土踏まずのところにできる靴擦れのために65分くらいを要する。バテは仕方ない面もあるけれど、靴擦れについては足裏にグリップのついた自転車用靴下を履いてしまったのが失敗。
結果、4時間20分程度、完走360人中290番くらいの順位でのゴール。
来年は、スイムの波の中の泳ぎ対策が必要!