コーポレート・インフォメーション・ファクトリー

コーポレート・インフォメーション・ファクトリー―企業情報生態系の構築と管理

コーポレート・インフォメーション・ファクトリー―企業情報生態系の構築と管理

  • 作者: W.H.インモン,ライアンソーサ,クローディアインホフ,W.H. Inmon,Ryan Sousa,Claudia Imhoff,江原淳,松永賢次,藤野明彦,本江渉
  • 出版社/メーカー: 海文堂出版
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 単行本
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コーポレート・インフォメーション・ファクトリー(CIF)は情報生態系のためのアーキテクチャであり、次のような要素から構成される。

CIFを最も簡単に理解する方法は、CIFに入ってくるデータの流れと、CIFから出る情報の流れを見ることである。アプリケーション環境で収集された詳細な粗データがCIFに入ってくる。詳細な粗データはアプリケーションによって精緻化され、企業の機能別データへと統合/変換するいくつものプログラムのレイヤに手渡される。このデータは統合/変換レイヤからODSやデータウェアハウスに送られる。データウェアハウスは、ODSからも統合/変換レイヤからもデータをもらうことができ、データウェアハウスを通ったデータは、データマートへ送られる。CIFの様々なアーキテクチャの要素を通じて、データはアクセスされ、分析され、さまざまな目的で利用できる情報に変換される。

データウェアハウスを提唱したビル・インモン氏によって1998年に書かれた本。
CIFというアプリケーションポートフォリオの参照モデルを提唱している。
14年経った現在に読んでみると、CIFが前提とするハードウェア環境が(現在に比べると)貧弱なこともあり、既に賞味期限切れとなっている記述も一部あると感じたものの、CIFという参照モデルの有効性は全然陳腐化しておらず、有効な示唆があると思った。
特に「オペレーショナル・データストア(ODS)」の考え方を新しく知った。
企業情報システムアーキテクチャ」第12章の説明例から引用すると、たとえばレガシーシステムが稼働する金融機関において、貸金勘定/預金勘定/信託勘定の各サブシステムが各々持つ顧客情報の一元化ビューを得たい場合に、データをODSに秒単位で統合するという使われ方をする。
また、本書の第12章では、CIFと個々の構成要素を別の方法で構築する場合、相応の処理上の問題を引き起こし得るという対価について説明されている。
複数のデータマートをアプリケーション環境から直接構築しようとすると、インタフェースの組合せや変換処理の重複が無駄となる。また、ODSとデータウェアハウスを一つの構造として一緒に構築してしまう場合、現在と過去のデータの混在や、OLTPと分析系処理の混在という扱いにくさを抱えることになる。
基幹系と情報系を包含した企業情報システムを統合するCIFは、サイロ状のレガシーシステムから、「情報工場」へと移行するための参照モデルとなる。
ERPクラウドやDWHアプライアンスなど、当時とは違う考え方も登場してはいるけれど、業務アプリケーションのポートフォリオとしてのCIFは変わっていない。