1Q84、再読

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

リトルピープル、あるいは羊とは、その時代を生きる人々が心の中に抱える観念の集合体としての意志を示す。
観念の集合体は、善なるものでも悪なるものでもない。
必要なことは、善と悪のバランスが均衡しているということ。
集合体のバランスが保たれるためには、個々人の観念が正しく開放される必要がある。
そしてその行為は、自らを温める記憶に自覚を持った個々人が、内面の部屋の中で執り行う必要がある。
影を持たないある人が、パッシバ(知覚するもの、夢を読むもの)として役割を果たすとき、別の誰かの入り口の扉が開き、部屋に入ることができる。
内面の部屋には、余り長く滞在することができない。
そして入り口の扉を開くことは、危険が伴う。
間違っても、邪悪な意志の体現者に入り口の扉をくぐらせてはならない。

        • -

物語を作る人、物語を広める人は、無意識的な観念の集合体を健全に維持する役割を担う。
このような世界観にあっては、私たちは正しいパッシバとしての物語を注意深く選び、自らに取り込むことが必要となる。