マッキンゼーが予測する未来

  

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

マッキンゼーが予測する未来―――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている

 

こうした資金需要が、世界の人口の高齢化と、長期化する政府赤字の状況と同時並行して起こっており、それが需要の高まりをきっかけに、世界の総貯蓄額を減らす圧力となるだろう。マクロ経済学のファンダメンタルズに基づく伝統的な見方によれば、需要の上昇と供給を減らす圧力という組み合わせの行き着く結果は、一つしかない。それが、これまでよりも入手困難で、高価な資本の時代の到来である。

しかしながら、近年実施されてきた、これまでの慣行には従わない金融政策の実施に夜ttえ、私たちは未知の領域に導かれてしまい、これまでとは異なる、理解しがたい世界の基礎を築き始めてしまったのかもしれない。

マッキンゼー社のマクロ経済データやミクロなインサイトから得られる将来起こる変化の予測を示し、「経験に基づく直感を捨て去り、考え方をリセットする」ことの必要性を説く。

変化には、世界的な都市化によって今は名も知れぬ世界各国の都市が経済の中心になる、イノベーションの頻発によって加速する技術進化、地球規模の高齢化、貿易・金融・人間・データの世界的な結びつき、という既に観測されている事実から、将来に起こりうる変化を示している。

世界中で資本に対する実需が上がってくること、高齢化の進展に伴い貯蓄高が下がること、現在がすでに非伝統的な金融政策によって資本バブルという状況が生じているという洞察から、「いずれ金利が上昇する」か「金利を押し下げるシステムが確立するか」の両方のシナリオが考えられるという示唆が示され、そこへの備えを訴える。

目先の変動ローン金利だけではなく、企業の資金調達や世界的に見た投下資本の偏在など、広い目で見ることが必要。 

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

 

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由

 

デザイン思考プロセスで失敗するパターンは、得たインサイトを組み合わせて、「はい、これが解決策」と結論づけてしまうパターンです。これでは、インサイトの裏にある大きな感情的ニーズを見過ごしがちになってしまい、なかなかうまくいきません。

大事なのは、ユーザーから得たインサイトや、彼らが持つ未来ストーリーに刺激を受けて、「自らの未来ビジョンや想いを育み広げていくこと」なのではないかと思います。

プランナー自身が100%腹落ちしていない企画が成功するのを見たことはありません。最終的には、自分の腹に落とすという、客観から主観への転換をできるかどうかがこのステージの鍵なのではないかと思います。

 マーケティング業務に従事していた著者が、デザインスクールで学んだデザイン思考のプロセスを解説する本。

論理的に、左脳的に、客観的に物事を判断するのが通常のビジネスの考え方としたときに、直感とイメージで、右脳的に判断するためのプロセス、「好き」という直感を軸にゼロから新たなサービスを生み出して、ターゲットとする対象者の共感を得られるものを作り上げるための方法論と理解をした。

データ解析のための統計モデリング入門

 

ここまでに登場した単純なGLMでは、現実のデータ解析には応用できません。その理由は、実験・調査で得られたカウントデータのばらつきは、ポアソン分布や二項分布だけではうまく説明できないからです。

人間は自然のあれこれすべてを測定できるわけではありません。しかし、「何か原因不明な個体差がある」ことは統計モデルとして表現できます。

多くの実際のデータ解析では、このGLMMを基盤とした統計モデルを使うのが適切でしょう。これはデータのばらつきは二項分布・ポアソン分布で、個体のばらつきは正規分布であらわすような、複数の確率分布を部品とする統計モデルです。 

 統計学の入門の教科書では、誤差が独立で同一の分布に従うことを仮定し、その和が中心極限定理によって正規分布で近似できるという前提のもとで、有益なツールとしての統計学の議論を進めていく。

しかし、仮に一般化線形モデルなどのツールを用いても、このようなモデルに当てはまるという前提が成り立たない場合に、より適切な統計モデリングを行うことが必要であると著者が指摘する。

その上で、GLMM(一般化線形混合モデル)を導入して統計モデリングを行うための手順を示し、作成したモデルをMCMCマルコフ連鎖モンテカルロ法)で解くことで、有益な結論を示す手順が解説される。

セイラー教授の行動経済学入門

 

セイラー教授の行動経済学入門

セイラー教授の行動経済学入門

 

重要な結論の一つは、「ギャンブル行動のモデルを作るのはなかなか面倒である」ということだ。賭け手の行動一つとっても、それは「過去の賭けの結果がどうだったか」とか「どんな賭けが結果として最も話題を作れるか」 といった、数々の要因に左右されるからである。そして、投資行動にもこれと同じ複雑な要因がついて回る。

実のところ、専門家であるファンド・マネージャーでさえもが、運用益の極大化よりも市場平均を上回る実績をあげることを目指して頑張っているように見受けられる。実際、第4四半期になっても市場の後塵を拝しているファンド・マネージャーは、言うなれば競馬レースの最終出走で勝つ見込みの少ない穴馬に山を張る、負けが込んだギャンブラーとさほど違わない行動に出かねないのではないだろうか。

 オークションの落札価格が期待収益に見合わない「勝者の呪い」、手に入れる価格と手放す価格が乖離する「現状維持バイアス」、選択と値付けで効用の順位付けが変わる「選好の逆転現象」、そして株式市場における「1月のアノマリー」や「平均値回帰」など、経済学における期待効用最大化や投資理論における効率的市場仮説に系統的に反例として現れる事象のカタログを示している。

ギャンブルの事例や株式市場の事例においても、手数料を超えて有効なアノマリーが残っているかというと、手持ち資金に限りがあることを考えるとなかなか難しいとみられることがあるけれど、日本国内の過去データがそろっている事例を調べてみたくなる。

また、本書は1992年の原著初版からの再翻訳版であって30年弱が経過した現在においても当てはまるものかというと、特に株式市場ではシステムトレードのウェイトが高まっていることからも、状況は大きく変わっている気もする。

 それでも、行動経済学以前の世界で「効率的」の前提からは起こり得ないケースが残るパターンにこそ、時間をかけて調べる価値があるという本書の提起は今でも面白いと感じる。