ベイズの誓い-ベイズ統計学はAIの夢を見る

 

ベイズの誓い――ベイズ統計学はAIの夢を見る

ベイズの誓い――ベイズ統計学はAIの夢を見る

 

「原因や結果、因果関係はむしろ哲学の領域で、数式がその表現になるなど行き過ぎである」というのが、つまるところ数学(あるいは数学的確率論)からの視点である。

正直なところ、この考え方ではAIを解き明かすことはおぼつかない。自然科学者や数学者、いや統計学者の一部にさえ、哲学的思考を議論のための議論、無用で非生産的な議論として毛嫌いする向きがある。しかし、ここまでの章で見たように、日常の世界で「ベイズの定理」が人間の推論にうまく一致することはもはや否定できない。

 確率論の教科書の一節を引きながら、頻度論の枠組みで捉えることができない因果や主観確率を排することの無益さを説いている。

ベイズの定理の基礎から、階層ベイズモデルとMCMCによる解法の考え方、バイオインフォマティクス・カルマンフィルタなどの応用、そしてシンギュラリティやAIと確率との関係まで、幅広い話題が述べられる。

ベイズの定理は「主観確率」が特徴として挙げられることが多いものの、暗号解読や高頻度取引等、リアルタイム性に向いた逐次更新という特徴こそが、AIやシンギュラリティといった現代的な応用のカギとなるというのだと受け止めた。