日本辺境論

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

私たちに世界標準の制定力がないのは、私たちが発信するメッセージに意味や有用性が不足しているからではありません。「保証人」を外部の上位者につい求めてしまうからです。外部に、「正しさ」を包括的に保障する誰かがいるというのは「弟子」の発想であり、「辺境人」の発想です。そして、それはもう私たちの血肉となっている。どうすることもできない。私はそう思っています。千五百年前からそうなんですから。ですから、私の書いていることは「日本人の悪口」ではありません。この欠点を何とかしろと言っているわけではありません。私が「他国との比較」をしているのは、「よそはこうだが、日本は違う。だから日本をよそに合わせて標準化しよう」という話をするためではありません。私は、こうなったらとことん辺境で行こうではないかというご提案をしたいのです。
日本辺境論 (新潮新書)

内田樹さんの新書。
日本人というのは、外部からやってくる考え方を「新しい考えだから、我々も早く取り入れなければ」と無意識のうちに考えてしまう。だから、イニシアティブを握るということがどうしてもできないのだけれど、その代償として「学びに対してオープンマインド」であって、そのことが強みにもなりうるという話。
自らが発祥となれないことの弱みと、他者の考えを適切に取り込めることの強み、"国民性"としての一般論として読むだけでなくて、"自分自身も(集合的な)無意識として、このような枠組みを内に抱えているのだ"という気付きともなると思う。