物理学者、ウォール街を往く(その2)
読み終えた。
- 作者: エマニュエルダーマン,Emanuel Derman,森谷博之,長坂陽子,船見侑生
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 63回
- この商品を含むブログ (52件) を見る
主旨は何となく判るけれど、使われる用語を理解しきれないので、ウィキペディア。
ボラティリティ - Wikipedia
- ボラティリティ:広義には、資産価格の変動の激しさを表すパラメータ。狭義には、株価の幾何ブラウン運動モデルにおけるσ
- インプライド・ボラティリティ:現実のオプション市場でついたオプション価格から逆算されたボラティリティ
- ヒストリカル・ボラティリティ:株価の値動きが幾何ブラウン運動モデルに従うと仮定し、過去の株価のデータから推定したボラティリティ
- ボラティリティ・スマイル:横軸に権利行使価格、縦軸にインプライド・ボラティリティをプロットしたグラフ
- 幾何ブラウン運動:???(編集中)
やはり、「幾何ブラウン運動」とは??という疑問は残るけれど、これは、ちゃんとした教科書のようなものを参照しないと理解できないと思われるので、とりあえず保留。
計量戦略グループの雰囲気は活気があり、元物理学者、元数学者、コンピュータプログラマーなどの多方面にわたる人材によって構成されていた。クオンツは金融理論をプログラマーに教え、逆にプログラマーはプログラミング・スタイルをクオンツに教えた。アカデミックな理論とトレーディングの間のギャップを埋めるために、トレーダーと緊密に共同作業を行った。体はビジネスの世界にあったが、頭は学問の世界から刺激を受けていた。それは恵まれた生活であった。
著者は、ゴールドマンサックスでの生活で、もっとも恵まれた時期について振り返っていた。そして、投資銀行を取り巻く環境変化によって、会社が徐々に官僚組織化していく。
上司の多くが把握できていない根本的な事実があった。我々は誰かの承認を得るためにモデルやシステムを構築しているわけではなく、問題が我々を惹き付けるがゆえに、モデルやシステムの構築に取り組んだのである。ある問題が発見されると、そこから必要性を嗅ぎ取り、それを吸収し、それに取り組んだ。情熱と誇り、感謝され、認められ、評価される喜びのために一生懸命に働いた。もちろんお金のためにも働いていたのだが、それだけで満足していたわけではなかった。
これは、ファイナンスのシステムに限らず、一般的なシステム開発プロジェクトの現場にも当てはまりそうな問題意識(もちろん、日本固有の大きな問題として、人材不足や多重派遣によるスキル不足やモラル低下といった課題は、別に存在はしているのだろうけれど…)。