高速道路割引についての疑問

先週金曜日の朝日新聞朝刊に載っていた記事.

国土交通省は26日、日本道路公団の高速道路での料金引き下げ案を発表した。政府が道路公団民営化前に実施するとしていた「平均1割値下げ」の具体案だ。(略)
割引額は総額で年間4600億円。現在も別納割引やETC前払い割引などで2800億円を割り引いており、値下げ財源を1800億円上乗せする。これは高速道路料金収入1.8兆円の1割にあたる。原資には道路公団のコスト削減で浮いた費用を充てる。

ETC車限定で時間帯・マイレージ割引 国交省案

高速道路の通行料が値下げされるのはいいことだ.自分はETCユーザではないのでこの値下げの恩恵を受けることはできないけれど,こういうのがあるならETCの購入を考えたくもなる.この値下げについて何か文句があるわけではない.だけどこの記事を読んで,ちょっとひっかかることがあった.
ここで引用した記事が主張していることは,「1800億円分通行料を割引するのだから,それと同額の値下げの財源が必要であり,その原資を捻出するために公団は経営努力をしている」という内容ではないかと思う.
これはちょっとおかしい気がする.「ある財やサービスの価格を下げれば需要は増大する」というのは,経済学の基本じゃなかったかと記憶している.需要曲線と供給曲線に基づく価格決定の話は中学の社会科でも聞いた気がする.むしろ,そんなことを言うまでもなく「値段を下げればお客は増える」というのは常識だといっても差し支えない.
それを認めるならば「あるサービスの価格をx円割り引いたとき,供給者はそれと同額の原資を負担しなければならない」という言及は成立しないことになる(需要の価格弾力性が低い産業においてはある程度成り立つかもしれないが,それでも同額というのはいくらなんでもありえない).
国土交通省のお役人さんが,このようなことに気付かないとは考え難い.となると意図的に先のような解釈を報道発表したと推測できるのではないか.だとしたら,それはなぜか?
>>高速道路の値下げは、道路公団の民営化の枠組みを決めた03年12月の政府・与党合意で「民営化までに平均1割値下げ」と明記された。(先の記事の続き)