クレイドル・バレー→ロンセストン

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7:30起床。炊事棟に行くとソニアが朝食を取っている。そして、「昨日の夜、レストランに一緒に行こうと探していたのに、どこにもいなかった」という。多分、自分がシャワーを浴びている間に探しに来たのだろうと思う。やはり昨夜にキャンプ場の売店で出会ったときに、ちゃんと話をして、夕食に誘っておくべきだったのだ。

ソニアに別れを告げた後、キャンプ場をチェックアウトする。そして、無料のシャトルバスに乗って、昨日マリオンズ・ルックアウトから眼下に見下ろしていた、ダブ湖畔に向かう。ガイドマップを見ると、30分ほど歩いたところにxxロックという場所が書かれているので、ここまで歩いてみることにした。コインロッカーを見つけることをしなかったこともあり、相変わらず70Lの巨大なザックを背負ってはいるけれど、ほんのちょっとしたハイキングだと思えば苦にはならない。xxロックでは、ベンチに座り、事前にキャンプ場の売店で買っておいたサンドウィッチを食べ、紅茶を沸かして飲んだ。

シャトルバスでビジターセンターに向かう。この日は、午後のバスに乗ってロンセストンまで向かう予定だったが、発車時刻まではまだまだ余裕があったので、売店で絵ハガキを買って送り(いったい誰に送ったのかは、今となってはもう忘れてしまった)、インターネットを使ってホットメールに届いているメールのいくつかに返信を書く。そして、国際電話で実家に無事の報告をする。

再びシャトルバスに乗り、インフォメーションセンターに向かう。カフェに入り、サンドウィッチを買おうと注文をすると、店員がカウンター上に置かれたチケットのようなものを指差しながら、早口で何かを尋ねてくる。自分のものではないのでNoと答えると、少し驚いた顔をする。改めて聞きなおしてみると、駐車券を提示した人には何かの特典があるらしい。

面倒くさいのでYesと答え直すと、そのチケットは別の店員に託された。店員は僕をビールサーバの前に連れて行き、2種類のビールのどちらが良いか?と聞いてくる。どうやら、誰か他人が受けるべき特典を自分が受けてしまったようだった。「ライトビールの方を飲みたい」と伝え、僕はビールとサンドウィッチの優雅な昼食を取った。(そもそも、駐車券の引き換えにビールがサービスされるというのは、何かが根本的に間違っているのではないか??)

ロンセストン行きのバスがやってくる。自分を乗せた後で、バスはビジターセンターに向かい、そこでオーバーランド・トラックを同じ行程で歩いていた7人組が乗り込んでくる。彼らも職場復帰の時期がやってきたのだ。荷物を積み込んでいるときに、ウィンダメア・ハットで同宿だった中年女性の4人組が通り掛り、別れの言葉と何か冗談らしきことを投げかけてくる。「Have a nice trip, too!」

バスは発車して山道を下っていく。7人組は途中のデボンポートの街で降りていった。デボンポートの港では、オーストラリア本島行きのフェリーのスピリット・オブ・タスマニア号が停泊していた。デボンポートから先は、乗客は自分だけとなった。それまで7人組のうちの1人がそうしていたように、僕は運転手に話しかけて、マイクロバスの助手席に座らせてもらう。運転手からはこれから自分が自転車で走ろうと思っている道路の事情を教えてもらったり、ロンセストンのバックパッカーズ(安宿)の場所を教えてもらったりする。運転手は、夏の間だけ出稼ぎでこの仕事をしていて、その都合で自分が泊まっているというバックパッカーズに予約しろと、携帯電話を貸してくれた。

その宿のドミトリーは既に満室になっていたので、そう告げて運転手に携帯電話を返す。バスがロンセストンの街に入った頃に、運転手は別のバックパッカーズがあると教えてくれ、通り掛ったときに指差してくれた。

バスはターミナルに到着する。オーバーランド・トラックを歩いている間、ホバートで発送し、ロンセストンのターミナルの倉庫で預かってもらっていた自転車と荷物を無事に受け取る。荷物を簡単にパッキングして、運転手に教えられたアイリッシュ・マーフィーというバックパッカーズに向かう。ここは、一階がバーになっていて、ちゃんとドミトリーの空室もあったのだけれど、ここには洗濯機がないという。あきらめてバーを出て、日本から持ってきた「地球の歩き方」のコピーを見て、ロンセストンの宿を探す。

メトロ・バックパッカーズというを探してレセプションに行くと、空室があり洗濯機も使えるというのでここに泊まることにする。ドミトリーに入るとケンと名乗る日本人がいた。彼は2ヶ月間掛けて、オーストラリアとニュージーランドを旅しているのだという。

一人で宿を出て、夕食を取ろうと街を歩き回る。時間は8時を過ぎていて、商店街の店はシャッターを閉め始めていた。結局、テイクアウト中心の小さな店に入ってテーブルでピザを食べる。一人で食べるには多すぎたので、残りを持ち帰ることにした。(振り返ってみると、今回の旅行の中で夕食をちゃんと店で食べたのは、この日一日だけだった。その唯一の晩餐が中途半端なピザだったかと思うと、なんとも侘しい…)

宿に戻って洗濯をする。オーバーランド・トラックの行程で、すべての服が汚れきっていたので、絶対に必要な作業だ。結局、毎日履いていた登山用の靴下だけは、どうしても臭いを取ることができなかった。