異端の統計学 ベイズ
現実世界とじかにかかわっている人はみな、ベイズのアプローチを採用している。実際に何かを決定する必要に迫られて初めて〔頻度主義の〕アプローチの限界が明らかになるんだ。必要なのは『自然の状態としてほかにどのような状態があって、それらはどれくらいほんとうだと信じられるのか』とう問いかけができるようになることだが、〔頻度主義では〕この問いを発することができない。ところがベイズ派は、複数の仮説を比較できる
ベイズ統計学の発祥から、頻度主義統計学との論争に負け続けながらも、軍事・疫学調査・世論調査などの分野で着実に実績を上げてきた歴史を紹介されている本。
エニグマ暗号の解読や大陸間弾道ミサイルの精度評価、潜水艦の探査など、軍事目的で実用化されてきた経緯から、統計学という世界ではずっと主流とはならなかったことは背景として興味深い。
そして、近年のコンピュータの計算力を得られるまでは、正規分布に帰着させて簡便で解析的な解を得られる頻度主義の手法が重用されてきたというのは、実用という面で見れば(軍事のような限られた例外を除いては)当然だったものと感じた。