FACTFULNESS

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

 

過大視本能と、以前紹介したネガティブ本能が合わさると、人類の進歩を過小評価しがちになる。たとえば、冒頭のクイズの結果を見る限り、多くの人は「最低限の暮らしに必要なものが手に入る人は、世界の人口の20%だけ」と考えているようだ。正しい答えは約80%で、ものによっては90%になる場合もある。たとえば、世界中の子供の88%が、何らかの予防接種を受けられる。85%が電気を使え、90%の女子が初等教育を受けられる

 世界を「先進国」と「発展途上国」の二元化で理解しようとすると、現実から大きくかけ離れることになる。所得階級でレベル1からレベル4まで4つに区分すると、昔ながらの「発展途上国」のイメージはレベル1(最貧国)に対応するものであることが示される。レベル1に属する人々は2017年現在でおよそ10億人で、残りの60億人は、一昔前の西欧諸国の人々並みか、それ以上に豊かな暮らしを送っていることが示される。

このように、事実に基づいて物事を見ることの大切さと、そうしない場合に世の中を間違った見方をしてしまう原因となる「10の本能」を、著者自身の経験談を踏まえて紹介されている。

データで示されると、如何に自分の理解が古い昔のままにとどまっているかということを思い知らされる。アジアの国々がここ数十年で大きく経済発展したというデータについては、「深夜特急(1970年代の旅行記)」に記されたインド・バンコク・マレーシア・香港といった国々の様子と、2000年代に自分の目で見た様子では、大きなギャップがあったという経験によっても補完される。

そして、これからの数十年で、アフリカの国々も、今のアジアの国々と同じくらいに暮らしが豊かになるということなど、「世界は日に日に進歩して、よりよいものになっている」ことをしっかりと意識したい。

www.gapminder.org

著者が創設した「ギャップマインダー財団」の「ダラーストリート」。世界の国々の暮らしの様子を、さまざまにフィルタをかけて一覧することができる。