AI白書2017

 

第1章7節(136ページ)までと、安宅和人さん・冨山和彦さんの寄稿を通読。

 IoT化の進展とAI技術の急速な進化によって、デジタル革命で実現する機能がリアルでシリアスな世界に滲み出し、そこでも破壊的な影響を及ぼす可能性がある。主戦場はソフトの世界やネットのバーチャルな世界ではなく、よりリアルでフィジカルな領域、すなわち自動運転や医療、介護のような人の命に関わる「シリアス」なビジネス領域「Sの世界」に移る。

(略)

その影響が従来よりもはるかに広い範囲に及んだ時、そこで活動している既存の企業、そして個人は大きなピンチとチャンスに同時に遭遇することになる。

 冨山さんの寄稿の趣旨は、「Sの世界」はものづくりの技術の連続的な蓄積が意味を成す領域であり、日本企業が注力すべきポイントという点と、その裏返しで現在のGAFA中国企業の躍進に対して後塵を拝している現状について、悲観してばかりいる必要はないというものと理解。

白書で示されている技術動向を見ても、ディープラーニングの実用化には(インターネットの進展と計算能力の向上によってようやく実現可能となった、)大量のデータ準備と大量データ処理によるところが大きく、力業が求められる部分も大きいと感じる。だからこそ、正しく投資すべき領域を見極めることが重要になるのだというメッセージを受け取る。

また、TensorFlowやChainerなどのディープラーニングフレームワークだけでなく、Lnked Open Dataとしてデータセットを利用可能とする取り組みがあり、また、ImageNetの画像識別やWord2Vecの日本語解析の学習済みモデルが公開されていて、公開モデルをベースに自用途に必要なチューニングを施す転移学習の仕組みがあることも知る。

力業に頼る必要がある技術だけに、試行には活用できるリソースをうまく組み合わせることも要点となると感じた。