9プリンシプルズ

 

9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために

9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために

 

この本はいくつか複雑な主題を扱っているけれど―暗号、遺伝、人工知能など―その主張は単純だ。われわれの技術は、社会としてそれを理解する人間の力を追い越してしまったということだ。だからいまやわれわれが追いつかなくてはならない。

われわれはありがたいことに(またはのろわしいことに)おもしろい時代に生きていて、高校生があたりまえのように遺伝子編集技術を使って新しい生命体を発明し、人工知能の発達で政策担当者たちが、広範で永続的な失業の心配をしなくてはならなくなっている。われわれの古い心の習慣―石炭、鋼鉄、安楽な繁栄の時代に形成されたもの―では不足なのも当然だろう。強いものがいまや必ずしも生き延びるとは限らない。あらゆるリスクを軽減させる必要もない。そして企業はいまや希少な資源のための最適な組織単位じゃない。

 MTIメディアラボ所長の伊藤穣一さんと同研究員のジェフ・ハウの書。古くは映画の発明やエニグマ暗号に始まり、DIYバイオ・ビットコイン・スクラッチなど、いくつものケースを引きながら、技術や社会の変化のスピードが加速する時代にいかに適合すればよいかの原則を示されてる。

このような時代をただ楽観的・悲観的に捉えるだけではなく、変わりつつある世界のルールをしっかりと理解して対応することの大切さを説いていると感じる。