人を動かす

人を動かす 新装版

人を動かす 新装版

この監察官は、人間の最も普遍的な弱点をさらけ出して見せたのである。彼は重要感を欲したのだ。パーソンズと論争しているあいだは、権威を振り回すことによって重要感を得られていた。ところが、自分の重要性が認められて議論が終わり、自我の拡大がおこなわれると、たちまちにして彼は、思いやりのある親切な人間に変わったのだ。
釈尊いわく――「憎しみは、憎しみをもってしては永久に消えない。愛をもってしてはじめて消える」。
誤解は、議論をもってしては永久にとけない。気転、外交性、慰め、いたわり、そして、相手の立場で同情的に考える思いやりをもってして、はじめてとける。

対人関係についての啓発書。初版が1936年であり、その後に改定が重ねられているものの、紹介されている事例が歴史を感じさせるものでありながら、内容は現代にも通じる。