人物を修める

人物を修める (致知選書)

人物を修める (致知選書)

道徳を簡単に説明します。東洋では、宇宙人生というものを一貫して営んでおり、これがなければ宇宙・人生は成立しないという最も本質的なものを、名づけて「道」と言っておる。人間は、自然ーー天の一部ですから天人であり、天に基づいているごとく道に基づいているのです。これに対して西洋では、人間を自然ーー天と対立させて考える。人類の文化も、要するに自然を征服し、変革することにほかならない。
この宇宙生成の本質であり、天地人間を貫くところの創造・変化、いわゆる造化の本質原理である「道」が人間を通じて現れたもの、それを「徳」と言います。道と徳とを結んだのが「道徳」であります。徳は人間が営む社会生活を通じて現れるものでありますから、それはやがて経済、政治、教育などの社会活動=「功」になってまいります。功はあらゆる人間活動を動かしてゆく「力」なのです。

「東洋思想十講」の副題のとおり、仏教儒教道家と、そのベースになる概念について解説されている。
上の引用は「道徳」という言葉の成り立ちについて。概念と概念の関係性をテンポよく述べられている。