部下を定時に帰す仕事術

部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵~

部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵~

私には男、男、女と3人のいずれも年子の子どもがいますが、長男の俊介は自閉症をもって生まれてきました。生まれたときには、そんあに変わったようにはみえなかったのですが、成長するとともに他の子どもと大きな差があるところが目立ち始めました。
さらに、結婚して15年経ったころに、妻が急性肝炎で3人ほど入院することになりました。当時、子どもたちは中学2年生、小学6年生、5年生と小さかったため、家事の一切を私がこなさなくてはならなくなりました。
毎朝5時半に起き、3人の子どもの朝食と弁当を作り、定時より1時間早い8時に出社し、まなじりを決して仕事をし、子どもたちの夕食づくりのために、夕方6時に会社を出るという毎日です。休日は1週間分の掃除、洗濯、買物をし、病院へ妻の見舞いに行くという生活でした。
会社ではちょうど課長になった時期でした。これは、私にとっては幸運でした。というのは、課長とは、自分の考えで仕事の組み立てができる立場だからです。そこで、まず私が関係する会議を半分に減らしました。そして、継続することにした会議も、時間を従来の半分に圧縮し、資料は事前配布を義務付けるとともに簡潔な資料とさせたのです。さらに、それほど重要ではない業務の切捨てをするなど、極限にまで業務の効率化を推進しました。私も部下も、毎日午後6時には会社を出ることができる体制をつくり上げたのです。

東レ経営研究所の佐々木常夫さんの著書。
自分には定時に帰すべき部下もおらず、むしろ自分が仕事を手早く仕上げて残業を減らすべき立場なのだけれど、職場の方より借りて読んだ。
きっかけは、これも職場の方に紹介をされた日経講演会で著者のお話を聞いたことだったのだけれど、上に引用をした冒頭の書き出しのとおり、大変な状況をしっかりと受け止めながらも、いかにきちんと成果を出すかということを、実体験をもとに記されている。
「最初に全体構想を描き出す」や「Don't surprise your boss」など具体的な助言から、「運命を引き受けなさい、それが生きるということです」といった姿勢の話まで、納得をしながら読むことができた。