日経夕刊文化面/磯崎新さん

建築家の磯崎新さんのインタビュー記事。

未来のビジョンを示して、国や社会のありようを「計画」しようとしてきたのが近代だった。国家の要請で爆撃に耐える建物、地震津波に耐える建造物が設計されてきたが、「計画」は既存の枠組みの中でしか実現しないものだ。それに対して「プロジェクト」は"例外状態"を作ること、と考えていい。
東北の被災地では今生き延びる手段を懸命に考えており、今後5年間くらいは様々に物事が動いていくだろう。「アーキテクト」は、かつてのテクノクラートたちが持ち得ない別種の手掛かりから「復興後」の姿を今から思い描いておく必要がある。

建築家を表す「アーキテクト」には、システムを組み立てる戦略家の意味もある。
災害復興という例外状態では、設計という行為によって、ストラクチャーを浮かび上がらせて、意味を掘り起こすことさえも実現できる。
設計と聞くと、あらかじめ決められた計画にただ従うという、受動的な作業と捉えてしまうこともあるけれど、こんな風なポジティブな考え方も持てるというメッセージを紙面から受け止める。

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この記事とは関係ないけれど、効率重視の冷凍倉庫会社設立のため、講習を受講して、いちからプログラムを勉強してシステムを組み上げてしまったという、ニチレイ会長の「こころの玉手箱」も、とても興味深い。