起きていることはすべて正しい

「勝間本」を購入してみる。勝間和代氏は、史上最年少で公認会計士試験に合格した経歴をもつ経済評論家で、ここ1年ぐらいはビジネス書が連続してヒットして、書店には「勝間本」のコーナーができている。

■「アサーティブな振舞い」がなぜ大切か
Assertive : Having or showing a confident and forceful personality
(自信があり、説得力ある人柄の印象を持っていること、または示すこと)
「アサーティブな振舞い」とは「相手も自分も大事にする自己表現の技術」と言い換えることができます。
たとえば、契約条件で満足いかない点があったときに、どの点について納得がいかないのか、その理由はなぜかを根拠とともに説明し、対案を打ち出す。これがアサーティブな考え方です。
アサーティブの反対は、消極的すぎる、あるいは攻撃的すぎる振舞いです。消極的になり、いい人になろうとしすぎると、理不尽な要求に対しても断れず、相手の言うことを聞きすぎて、自分が望まないことであっても引き受けてしまい、結果として相手に対しての不満も溜まりますし、自分の被害者意識も高まり、健全でない人間関係が形成されてしまいます。
一方、実力がともなわないのに、自分の力を押し通そうとすると、逆に攻撃的になって、言われたことに対して、「そんなことはできません」と頭から押し返したり、クレームをつける際にも大上段から文句を言ったり、自分を大きく見せようとして相手に不必要な攻撃をしがちになります。

「妬まない、怒らない、愚痴らない」という「三毒追放」の考えと、この「アサーティブ・コミュニケーション」が、人間関係の二本柱なのだという。そして「消極的⇔攻撃的」という構図ではなく、「{消極的,攻撃的}⇔{アサーティブ}」という構図でとらえることが(、言うまでもなく当たり前のことであるけれど)重要。

■「問題解決と互助の精神」がアサーティブの基本
ここで注意したいのは、アサーティブは、感情に任せて何もかも相手にぶちまけていけ、ということではありません。何かお互いにとって問題が生じた場合に、情報を包み隠さずに共有し、互いに知恵を出し合って、共同で問題を解決していこうという発想です。
したがって問題解決能力が高ければ高いほど、すなわち問題解決のパーソナル資産を持っている人ほど、アサーティブな振舞いが可能になります。逆にアサーティブに振る舞うことができない人は、ある意味自分自身が切羽詰まっていて、問題解決する能力や相手との交渉力に乏しい人と言い換えることもできるでしょう。
アサーティブの基本は、相手に対する思いやりとしても説明できます。それぞれの生きるステージごとに、私自身が十分なパーソナル資産を持っていないとアサーティブには振る舞えないのです。

「相手も自分も大事にする自己表現の技術」を身につければいいのかと考えても、それは口で言う程簡単なことではない。どんな考え方をしたところで、"私たちの"目の前の問題を片付けなければいけないという事実は揺るがないので、問題解決能力を高める必要がある。そして、問題解決には「パーソナル資産」の蓄積が必要になるのだという。
レイモンド・チャンドラーならば、「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」と、フィリップ・マーロウに語らせているはずの内容。
「パーソナル資産={経験,技術,お金,人脈}」であり、これを土台として、「ディープスマート力」と「セレンディピティ」によって広げ、「即断即決法」によって絞り込むというスキームを繰り返すことが必要。
勝間氏の本をぱらぱらとめくっていると、この手のキーワードがどんどん出てきて、何ともはぐらかされそうな警戒感を抱いたりもする。だけど、このように考え方や行動姿勢の枠組みに対して、一言で想起できる名前をつけておくことによって、「公理⇒定理⇒補題⇒定理」と順に追いかけていくように、構造的にスキルアップができるような気がしてくる(これもフレームワーク思考とラベリングの効能)。
自分自身も、情報システムを仕事として、問題解決で飯を食べていきたいと思う手前、身の丈をわきまえながらも、徐々に高めていけるようになりたい。