スズカエンデューロ

スズカエンデューロに参加する。
例年10月下旬の涼しい時期に開催されるのだけれど、今年は秋にコースの大改修を控える中で時期を変更しての夏の開催。F1富士スピードウェイトの隔年開催を実現するためなので、仕方のないこと。
しかし、今日の三重県北部の最高気温は35度。尋常ではない暑さ。
あまりの暑さと、3週間ほど引き続けている夏風邪のために、とても4時間体力が持ちそうにないと、スタート後1時間で休憩。その後2時間ピットで寝転がって昼寝をして、またラスト1時間に走行をすることにした。勝手に2時間エンデューロの部に変更。
ピットで寝転がって、会場に流れるレッチリのアルバムBy the wayを聴くともなく聴いていると、夏フェスに着たかのような錯覚を覚えて、無性にビールが飲みたくなる。だけど運転があるので断念。

スタート直前の様子。目の前には上下スーツを着て、自転車には大きな荷物をくくりつけたサラリーマンの姿も見える。ご苦労様です。
2時間の昼寝を経て、ラスト1時間にサーキットに復帰すると、相変わらず多くの人がコース内を周りつづけている。30mUPのホームストレートからシケインにかけてのダラダラとした上り坂をやり過ごし、130Rに続く平坦な道に向けて加速を始める頃、右後ろから少し速い3人ほどの集団が追い越してくるので、自分も少しペダルを踏み込んで4人目に付く。40km/hほどの集団の後方で休ませてもらい、スプーンカーブの上り坂で、ついて行けずに千切れる…というのを、毎周回繰り返しながらサーキットを周る。時々、クラクションを鳴らすバイクに先導された先頭集団が右側を高速で追い抜かしていく。左側を見ると、サラリーマンやナスの着ぐるみを着た2人組や、小学生らしき少年が頑張って自転車を漕いでいるのが見える。

他人の話を聞けば聞くほど、そしてその話をとおして人々の生をかいま見れば見るほど、我々はある種の無力感に捉われていくことになる。我々はどこにも行けないというのがこの無力感の本質だ。我々は我々自身をはめこむことのできる我々の人生という運行システムを所有しているが、そのシステムは同時にまた我々自身をも規定している。
それはメリー・ゴーラウンドによく似ている。それは定まった場所を定まった速度で巡回しているだけのことなのだ。どこにも行かないし、降りることも乗りかえることもできない。誰をも抜かないし、誰にも抜かれない。しかしそれでも我々はそんな回転木馬の上で仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートをくりひろげているように見える。
回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

サーキットの耐久レースも(上位争いに参加しなければ、)回転木馬のデッドヒート的な感がある。集団から遅れても、またいくらでも後ろから新たな集団が追いついてきて、後ろについて走ることができる。元気のあるときには単独で飛ばして、ふと後ろを振り返ると、自分の後ろに何人もの人が付いて走っていたりする。