ウェブ時代 5つの定理

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

完璧な検索エンジンとは、ユーザーが何を探しているか正確に理解し、ユーザーが求めていることにぴったり合った答えを返すものである。
The perfect search engine would understand exactly what you mean and give vackexactly what you want.

検索エンジンを「ページランク」というアルゴリズムでつくろうと構想したところに、グーグルの成功の端緒がありました。この考え方を糸口に「完璧さへの執拗な追求」をずっと続けてきたことが今日の成功につながりました。

「すごい」だけじゃ不十分だ。いつも期待されている以上の結果を出せ。グーグルは「(誰かと比較して)ベストである」ことを到達点と甘んじない。それはあくまでも出発点だ。
Great just isn't enough. Always deliver more than expected. Google does not accept being the best as an endpoint, but a starting point.

この言葉も、完璧を目指すグーグルの姿勢をよく表している言葉です。
世界中の情報を整理し尽くしたうえで、利用者の意図を完璧に汲み取って、ぴったりと合った情報を、無限とも言うべきネット上の全体から瞬時に探し出して返す。グーグルの定義する完璧な検索エンジンとは人工知能そのものです。そういう遥か高いところに目標を置き、難問の解決に取り組むのがグーグルの姿勢です。

グーグルの本質はページランクというアイディアにではなく、それの完璧さを目指す姿勢にあるんだろうと思う。ページランクのアイディアは素晴らしいものだけど、それを思い浮かべて、定式化すること自体は、飛び抜けて頭のよい人でなくてもできそうな気がする。
ただ、それを実際に世界中のインターネットサイトを相手にサービスを作り込もうとすると、完璧さへの執着心は絶対に不可欠だ。

  • 日々増え続けるサイトを評価し続けるための、現実的な処理時間で差分を評価するための、甚大な行列演算処理や、数値計算アルゴリズムの開発
  • 膨大なアクセス要求に対して、巨大なDB群から、充分速く回答を出すための、分散コンピューティング基盤構築
  • 増え続けるコンピュータ筐体を格納するデータセンターの建設と、排熱処理戦略の開発
  • ページランクアルゴリズムを出し抜こうとする、SEOとのいたちごっこ

今の自分が、もしも誰かに「ページランクアルゴリズムを思いついたから、これ実装してよ!」と頼まれたとしたら、ここに挙げたような「実装が絶対に不可能な理由」を並べ立てて、全く実現性がないと馬鹿にして相手にしなかったんじゃないかと思う。
これを、やってのけるグーグルの中の人々のコアは「完璧さへの執着心」なのか。
グーグルの採用ポイントは以下の4つとのこと。

  • 地頭がいいこと(徹底的に対象を分析し、計量的に数値をとり、それをもとに論理構築する)
  • 実績があること(実行力、行動力、プロジェクトを取り仕切って形あるものを仕上げる)
  • コミュニケーション能力(「言語化された知」を徹底的に整理すること)
  • 「グーグリネス」がある(「組織としての創造性」を発揮すること)

自分が大学1年の夏休み、自転車ツーリングを終えて、旭川から名古屋まで飛行機で帰ろうとするときに空港の売店で暇つぶしに買った週刊朝日の記事に、「金融ビッグバンを生き残るために、銀行志望者に求められる3つのスキル」というのが載っていた。

  • 英語力
  • 確率統計の知識
  • コンピュータを使いこなせること

そのとき、全然金融業界には興味がなくて、実際今でも金融の仕事はしていないけれど、なぜか記事に妙に納得して、結局学生時代をとおしてこれらを志向し続けた。今それが直接活きているかは甚だ疑問だけど、方向性としては間違ってなかった気がする。
同様に、この先自分がグーグルの採用担当に履歴書を送ることはないだろうけれど、「グーグルに採用されるスキルをつける」という志向は、持ち続けてみたい。
今、仕事で目の前にある課題、「ユーザの実現したい仕組みを前に、複雑化の一途を辿る設計書群」を見ると、つい「良い設計は皆シンプルだ。複雑な仕組みを考えることからは、正しい実装を得ることなどできない」と、思考停止してしまいたくなる。だけど、その目指す価値に共感できる部分があるならば、完璧さへの執着心を据えて、複雑さの海に飛び込んでいく心意気も必要なときかも。
と、新年度を前に、少しはポジティブな思考を得られた気がする。