「ウェブ時代をゆく」欲しい!

梅田望夫さんの新刊書プレゼントキャンペーンに応募。
キーワードリンク:「ウェブ時代をゆく」欲しい!
「ウェブ時代をこう生きてみたい」

いま大企業のシステムは、ネットの「こちら側」に作られる。過去何十年もかけて作り上げられてきた複雑なシステムが堅牢に出来上がっているから、ちょっとした機能を増強するのでも億単位のカネを、大企業はコンピュータ・メーカーやシステム・インテグレータに支払わなければならない。インターネットの時代になって早十年が過ぎても、この構造は崩れていない。だからコンピュータ・メーカーやシステム・インテグレータは、インターネット時代とチープ革命の破壊的組み合わせの打撃をもろに受けずに、今日まで生き長らえている。

前著「ウェブ進化論」で、梅田さんはこのように述べている。そして「チープ革命Web2.0によって、次の10年で、IT産業は大激変に見舞われる。」と続く。
IT(情報技術)というよりは、むしろ情報システムの仕事をしている自分としては、ウェブ時代という「あちら側」からの荒波の中で、「こちら側(あるいは、エスタブリッシュメント側)」のシステムを作り続ける仕事をしたい。
チープ革命は、ある種のソフトウェアに対しては、開発生産性を簡単に何千倍・何万倍と向上させるだろう。それは公開されたAPIオープンソース、あるいはSaaSの恩恵を受けることができる種類のソフトウェアでは、既に実現している。郵便局でSalesforce.comが採用されたことが良い例だ。
一方で、企業のコア・コンピタンスとなり得る種類のソフトウェアについては、相変わらず、億単位のカネを使ったシステム・インテグレーションが行われ続けるはずだ。企業固有のビジネスプロセスの聞き取りを行い、改善提案を行い、そしてそれを実装するというサービスに対するニーズは尽きない。
そのような「大激変」によって、SIerの収益構造には、ひょっとしたらネガティブな変化が訪れるのかもしれない。しかし、その業界で働く人間にとってはポジティブな変化が訪れるのではないか。
3Kだとか7Kだとか言われる「IT業界」の働き方の負の部分は、間違いなく、構造的な生産性の低さによってもたらされている。21世紀のCOBOLと言われることもあるJAVAによってゴリゴリとコードを書き、テストツールは使いながらもケースを潰すために人海戦術的な作業をして、壮大なウォータフォール・モデルの中で尽きることのない仕様変更と不具合を管理する…
新しいテクノロジがでてきても、結局システム開発の抱える問題は解消されないじゃないかという気にもなる。構造化プログラミングだとか、部品化だとか、同じようなコンセプトを別の名前で繰り返し提示しては限界にぶつかるのを繰り返しているだけではないかと。
だけど一方で、ホストコンピュータはLinuxサーバに取って代わられ、高価な専用線VPNに置き換えられる。情報システム開発の工程も劇的に生産性が向上して、皆がハッピーにITの仕事をできる日も来るのではないか。
Yahoo Pipesの様に部品を組み合わせるだけで、プロトタイピングもでき、顧客とSEは共通の言語を手に入れることができる日が来るのではないか。システム開発支援のためのメタ・システムがチープ革命によって普及して、デバッグ作業に終われる日々は終わりを遂げるのではないか。そして、企業経営者とSEがビジネスプロセス改革について向かい合って話すことが日々の仕事になる時がやってくるのではないか。