筑波山

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所用があって東京、そしてつくばへ行き、レンタカーを借りた。用が済んでから2時間ほど余裕があったので、筑波山の朝日峠に登ってみる。
ここは、学生のときにはロードレーサーで峠を登りにきたり、夜中に車でわざわざドライブしにきたりしていた。パラグライダーの滑走路を兼ねた見晴台のような場所になっていて、写真のとおり眺めがよい。
自分は馬鹿みたいに高いところが好きなので、ことあるごとに筑波山に登ってみたり、東京都庁の無料展望台に登ってみたりする。ここにくるのは卒業以来で、「3年一区切り」ではないけれど、やれやれという気分で(寒さに震えながらも)しばし見下ろす。

偶然の音楽 (新潮文庫)

偶然の音楽 (新潮文庫)

まる一年のあいだ、彼はひたすら車を走らせ、アメリカじゅうを行ったり来たりしながら金がなくなるのを待った。こんな暮らしがここまで長く続くとは思っていなかったが、次々にいろんなことがあって、自分に何が起きているのかが見えてきたころには、もうそれを終わらせたいと思う地点を越えてしまっていた。

学生の頃には、論文やらレポートやらに飽きたりすると、夜中にあてもなく車で走り回ったりしていた。別に峠を攻めたり、すごいスピードで走ったりするのではなくて、ただ音楽を聴きながら淡々と走る。
さすがに会社に入ってからはそこまで暇なことは中々できなくなったけれど、「移動し続ける感覚」のようなものを必要としていた。旅行に行く代わりの代償行為ではないけれど。
ポール・オースターの「偶然の音楽」は、まさにそんなシーンから始まっていて、読んだときには、まずそういう感覚がわかるよなと思っていた。小説のストーリー自体は、主人公がどんどんと理不尽な流れに巻き込まれていくという後味の悪いものだけれど、アメリカというか資本至上主義の病理のようなものがもたらす理不尽さが良く書かれている。