シリコンバレー精神

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 (ちくま文庫)

第一に、事業の成功・失敗はあくまでもビジネスというルールのある世界でのゲームで、それを絶対に人生に反映させないこと。
第二に、事業とは「失敗するのが普通、成功したら凄いぞ」というある種「いい加減な」遊び感覚を心のそこから持つこと。
第三に、失敗したときに、「投資家や従業員や取引先といった関係者に迷惑がかかる」という考えを捨てること

1994年からシリコンバレーで仕事をしている筆者の本。

シリコンバレーでは「ナード・企業家・投資家」が集まって、上記の精神の下に価値を生み出しているという。ナードとは、「大好きなプログラミングという作業を、朝から晩まで誰からも邪魔されずにやっていたい」と心から思っている人。ビル・ゲイツリーナス・トーバルズもナードだという。

この本は1998年から2001年頃に掛けての記事がベースになっている。「IT化」とは旧秩序を効率化するインフラ整備段階、「IT革命」とは旧秩序を破壊するような新秩序が生み出される段階。今更「IT革命」とは懐かしい響きがするけれど、2006年の今になってみると、アドワーズ広告やアマゾンのロングテール現象など、ようやく「IT革命」の段階(今ではWeb2.0と呼び名が変わってしまった)に達したのだと、振り返られる。

いまだ正解なきIT革命の本質
「顧客一人一人の特質を購買パターンなどから正確に把握して、その情報をもとに個を対象とした提案型マーケティングを行う」というコンセプトは比較的早い段階から存在していた。しかしこのコンセプトを安易に具現化しようとしたほぼすべての企業は、道半ばで倒れて市場から退出した。

自分が2001年頃から2003年頃に掛けて研究テーマの一部としてやっていたことも、既に2001年の段階では(アマゾンという唯一の例外を除いて)「時代遅れ」だとの評価をシリコンバレーの筆者は下していた。