国家の品格
5/18(木):Jog、40分、7km
5/20(土):プール、70分、1200m
- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/20
- メディア: 新書
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「論理」だけでは世界が破綻する
1.論理の限界
⇒論理を通してみても、それが本質をついているかどうか判定できない
2.最も重要なことは論理で説明できない
⇒どんな公理系も、正しさを論理的に判定できない命題が存在する(不完全性定理)
3.論理には出発点が必要
⇒論理の出発点を選ぶのは、常に仮説
4.論理は長くなりえない
⇒長い論理は危うい、短い論理は深みに達しない
「国家の品格」なんていうタイトルを見ると、右側に傾いたちょっと危ない本なんではないかという気がするけれど、中を見ると、「原理的なもの」すべてに疑問をなげる視点を持ち、バランスがとれていて興味深く読める。
「民主主義」、「自由・平等」などは、現在では無批判に当たり前と信じられている。しかし、当初は史的必然性がある考え方だったのが、時と共に絶対者の存在の仮説に基づいた論理的補足なしには成立し得ない脆弱な土台の上に立つものになってしまっているという。
また逆に「愛国心」などといわれると胡散臭いものを感じてしまうが、それもナショナリズムとパトリオットを分けて考えれば、その必要性も納得できる(前者が所謂特攻隊的な発想で、後者は”国際社会”の一参加者のバックグラウンドとしての視座)。
著者自身が訴えたいことの背景が崇高なのか下らないものなのかは文章からは判断できないけれど、議論の進め方自体は納得できる。数学者でありながら、論理の限界を示すというのも良い。