意味がなければスイングはない
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/11/25
- メディア: 単行本
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「アメリカには第二章というものは存在しない」と、かつてスコット・フィツジェラルドは書いた。
日本は、アメリカ型の社会に移行しつつある。それが(今となっては随分と使い古された言い回しに思えるけれど、)構造改革の目指すものであり、着々と実現に向かって進んでいる。アメリカ型社会とは、「自由競争の推進によって、社会システム全体の効率化を目指すこと。競争に敗れた場合に備えて、手厚いセーフティ・ネットが用意されている」というものだ。
ここでいう「第二章」とは、「セーフティ・ネット」を指している。
スガシカオ、ブルース・スプリングスティーン、ブライアン・ウィルソン…約束されているはずの第二章が実は存在しないという閉塞的な状況の中で、なんとかうまくやっていこうという人々とその曲が紹介されている本。
「ブルース・スプリングスティーン」の章でBorn in The U.S.A.(lyric)が単純なアメリカ礼賛の歌と誤解され、大統領選挙演説で取り上げられたという話は面白い。今で言えばグリンディのAmerican Idiot(lyric) をブッシュ大統領が演説で絶賛するようなものなのかも知れない。
「下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)」の筆者の人は、どうにも想像力に欠けているのだろうけれど、そこで言われていることは、あながち出鱈目でもないんじゃないか、という流れが出来つつあるのが恐ろしい。