TXと総選挙

週末でつくばへ行く。つくばエクスプレスに乗車。
秋葉原の駅で「つくば行き」という表示を見ると、「電車でつくばに行けるのだ」という軽い感慨を受けたのだけど、実際に乗ってみると、まあ普通の通勤電車でした。ただ、最長1本18kmというつなぎ目のない長いレールを使っているとのことで、たしかに「ガタンゴトン」という振動を感じない。
OB会の翌日、現役の人に連れられて筑波山を走りつつ梨狩りへ行く。不動峠にも行った。タイムは16分50秒。一番元気だったときは14分前後で登っていた記憶がある。
そんな中、総選挙があった(自分は期日前投票に行っていた)。
たまたまテレビで開票速報を見ていたときに、古館一郎氏と堀江社長の中継でのやり取りが流れていた。

古:「出口調査では劣勢ですが、もしも当選したときに実現したい野望は?大統領制への移行などは?」
堀:「いまは、当選することだけを考えていて、そこまで思いが至らない」
古:「そんなことはないでしょう?当選した後になにがやりたいんです?」
堀:「小選挙区制で戦ってる最中に、そんなことまで考えられない。スタジオでのほほんとしている、あなた方とは違うんです。あなたもやってみればわかりますよ」
古:「そんなこと強制されたくないですよ」
堀:「強制はしてないですよ…」

これは、「売り言葉に買い言葉」というやり取りの中で、古館氏が適切な「買い言葉」の選択をできていなくて、堀江氏にたしなめられるという構図だった。だけど、堀江氏を(そして、テレビを見ている人の一部を)いらだたせたポイントはそこではない。劣勢が伝えられている候補者に、当選後の抱負を尋ねるのは、無礼な問いかけだといえる。にもかかわらず、そんな質問を投げる古館氏の思いは「堀江氏落選のニュースを、より話題性のあるニュースに作り上げるための、言質を取りたい」という意図が見え隠れする気がする。
また、チャンネルを変えてみると、今度は櫻井よし子氏と亀井静香氏の中継でのやり取りが流れていた。

櫻:「郵政法案での造反への報復として、刺客を送り込まれるという事態は想定できていましたか?」
亀:「これまでの政治の常識でいったら、まったく考えられないことだ」
櫻:「それは、政治家として先の予測を読み誤ったということになりますね?」
亀:「そんなことは想定外だ。そもそも政治家は評論家とは違うんだ」

先の例とも共通するのが、「政治家 vs 評論家(ジャーナリスト)」という構図だという気がする。こういうのが比較的ダイレクトに見えるのは、選挙速報というものの面白いところだと思った。ニュース番組にゲストとして政治家が出てくるときには、やはり「お客さま」として呼ばれているので、「ある程度の敬意と、追求すべき疑惑」みたいな流れが出来上がっている。しかし選挙速報は、ある意味ではもう少し生々しい現場であるといえる。
こういうのは見ていて面白い。もっとやればいいのにと思う。何が面白いのかというと、「あくまで客観的・中立的であることが建前の評論家(ジャーナリスト)が、その言及の対象と直接的・相互作用的に向き合っていること」にある。社会科学的な問題は、物理学の実験とは違って、「観測する主体は、同時に参加する主体でもある」といえる。選挙速報のような状況では、日頃覆い隠されているそのような事実を、ありありとさらけ出す効果があるんじゃないかと思う。