ウィンダメア・ハット→ウォータフォール・バレー・ハット

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8:50-10:00 ウィンダメア・ハット→ル・ホルムス
10:20-11:20 ル・ホルムス⇔ウィル湖(往復)
11:30-12:30 ル・ホルムス→ウォータフォール・バレー・ハット

7時起床、8時50分出発。とてもよい天気の朝。ハットを出て歩き始めると、すぐに右手側を見下ろすと、いくつもの小さな湖が広がる草原がある。朝日に照らされてきらきらと反射している。この日は歩いていても本当に気持ちがよくて、足のマメも荷物の重さも、不思議と気にならないようになっていた。

荷物を置いて1時間ほど歩くと、ウィル湖へのサイドトリップの分岐点へとたどり着く。ウィル湖畔への道は片道20分程度なのだけど、ひどくぬかるんでいて、足首まで深く泥につかってしまった。道の端側の草地も踏み荒らされた跡があったり、草原の保護のために道が途中からロープで閉鎖されていて、別の道に誘導されていたりした。オーバーランド・トラック全体が高層湿原になっていて、一度踏み荒らされた土地は中々回復しない。

ウィル湖畔にたどり着くと、湖の向こう側にバーン・ブラフという切り立った岩山が見える。天気は晴れているのだけど、いくつもの雲が流れてはまたやってくるというのを繰り返して、中々完全な姿を現さない。そんな風景を眺めたりチョコレートを齧ったりしながら、しばしシャッターチャンスを待っていたのだけれど、結局完全な写真を撮ることはできなかった。

オーバーランド・トラックに戻り12時半にウォーターフォール・バレー・ハットに到着すると、たまたまハットに来ていたレンジャーの初老の男性と女性が迎えてくれる。ハットでは、ぬかるみにはまって濡れてしまった登山靴と靴下を乾かす。ここのハットも比較的新しいもののようで、デッキやヘリポートも整備されている。とても天気がよく、デッキからはバーン・ブラフがよく見渡せる。ハットのすぐそばまで、野生のボッサム(??)がやってくる。人間を見ても特に怯えたり警戒したりすることもなくて、近くで見るととてもかわいい。

デッキに座りながら、レンジャーの人といろいろな話をする。ハットの水道の仕組みを教えてもらったり(屋根に降る雨水をタンクにためておく)、生分解方式のトイレについても教えてくれた(使用の度に、スコップいっぱいの籾殻をかけておくことや、2箇所用意されたトイレの片方を順次閉鎖することによって、分解を促進する)。また、ここ最近はオーバーランド・トラックを歩く人の数が増加傾向にあって、自然環境の破壊も進んでしまっているために、いずれはトラック自体を予約制・定員制にして、歩く人の数を制限することも検討されているのだと話していた。

ハットの隣にあるキャンプ場に遊びに行くと、一人の男がテントを設営する準備をしていた。ドイツから1人できているアクセラという自分と同じくらいの歳の青年で、夕方まで話し込む。ワーキング・ホリデーとしてオーストラリアに来ていて、スイカ畑で働いているのだと言っていた。

夕食を一緒に食べようという話になり、調理用具を取りにハットまで戻る。夕方の日に照らされるバーン・ブラフと、先まで続く草原や、すぐ傍にいるボッサムを見ながらの夕食。そして驚くことに、アクセラはショットボトルのビールを2本持っていて、一本を分けてくれた。オーバーランド・トラックを歩き終えるまではビールなどというものを飲めるとは思っていなかったので、これはうれしかった。

アクセラは、自分とは反対方向からオーバーランド・トラックを歩き始めており、自分はあと一日でゴール、アクセラは今日出発したばかりだったという状況もあったので、)空いた2本のビール瓶は自分が預かることにする。もちろん、アクセラも最初からそういうつもりでビール瓶などというものを持ち込んできていたのだろうと思う。ビールへのこだわりと、その後の処理も考えた合理性はさすがドイツ人だと勝手に納得していた。

なんにしても、本当に気持ちの良い、オーバーランド・トラック最後の夜だった。