新ペリオン・ハット→ウィンダメア・ハット

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8:40-9:50 新ペリオン・ハット→フロッグ・フラッツ
10:00-11:20 西ペリオン山の道
11:20-14:10 パイン・フォレスト・ムーア→ウィンダメア・ハット

7時起床、8時40分出発。靴擦れの対策として、登山靴の中敷を取り去って、登山用の靴下を履くことにする。すると、靴擦れはほとんど気にならないレベルにまでなった。履いてきた登山靴のサイズにゆとりがなかったこともあり、昨日までは登山用ではない普通の靴下を履いていたのだけれど、この変更は大正解であった。

フロッグ・フラッツまでは森の中をゆっくりと下る道が続く。道の中には、雨溜まって中央部分がぬかるみの水溜りになってしまうことが何度かある。道の端の部分へよけて歩けば、ぬかるみは避けることもできるけれど、その端の部分についても徐々に踏み抜かれていくことによって、状況はぬかるみに向かいつつあるのが分かる。

オーバーランド・トラックの入り口で渡されるパンフレットには次のくだりがある。「もしも、歩道の中央部分がぬかるんでいたとしても、端によけたりせずに、中央を歩くようにしてください。端を歩くことはコースの自然環境を破壊することにつながるし、いずれにせよ、遅かれ早かれあなたの靴がずぶぬれになることには変わりありません。」随分と合理的な文章だったのを思い出したので、ガイドブックの指示に従って、あきらめてぬかるみの中を歩みを進めていく。

フロッグ・フラッツに到着する頃から雨が降り始める。ゴアテックスの雨合羽を着込んで歩みを進めると、その後オーバーランド・トラックは、西ペリオン山を回りこむようにして続いていく。

パイン・フォレスト・ムーアに入ると、道は森を抜けて、右側少し先は崖、そしてコースは木道となり、その両側には見渡す限りの低層の草原が続く。風をさえぎる木々がなくなったために、強風と雨が体に直接届くようになり、突然に寒くなる。歩いている途中で服を着込もうとしても、吹きさらしの中ではそれもままならない作業となる。

寒さの中草原を越えると、オーバーランド・トラックは再び森の中を進む。強風に煽られたためか、枯れ木になってしまった白い立ち木が道沿いにしばらく続く。そんな白い枯れ木を繰り返し見ていると、そこには「もののけ姫のカタカタ」が無数に隠れているように錯覚してくる。昨日に続いて、宮崎駿を想い起こすのは、寒さで意識のレベルがちょっと落ちているためかもしれないけれど、それでもやはり風景を表現するのに相応しいという気もする。

14時過ぎにウィンダメア・ハットに到着。昼食の弁当にしようともっていた白米を、スープストックとインスタント味噌汁で煮込んでおじやもどきにして食べて、暖まる。そしてハットに備え付けのベッドの上で寝袋に入って、明日からの行程の計画を練る。

ピリオン・リッジから一緒の行程を進んでいた中年女性の4人組の人達と同じテーブルについて夕食。また、隣のテーブルには、初日のパインバレー・ハットでも一緒に話していたドイツ人女性のソニアがいた。4人組はどうもパスタを沢山茹で過ぎてしまったらしく、自分もパスタを分けてもらった。夕食が終わると、ハットの外にある炊事場でコッヘルを水で軽く洗い、テーブルに戻って翌朝のために米を水に浸して用意をしておく。それを隣のテーブルで見ていたソニアは、「あなたはいつもライスを食べているのね」といって、中年女性の4人組と笑いあっている。「Yes, because I'm Japanese.」

ソニアは、オーバーランド・トラックのスタートのセントクレア湖に自転車を置いてきたのだという。そして歩き終わったらバスで戻り、タスマニア島の西側に向かって自転車で走り、島全体を一周するプランだとのこと。ドイツでは、知的障害のある子供たちのための施設で働いているのだといっていた。

8時半就寝。夜、みぞれだか雪だかが降り始めていた。ハットの中でもとても寒かったのだけど、窓から外を見るといくつものテントが張られているのが見える。そして、ハットの床にも雑魚寝をする人で満杯になっていた。