トングル→サンダクプー(トレッキング)

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6時前、山小屋の人が窓を叩いて起こしてくれる。急いで上着を着込んで外に出る。もうすでに外は明るくなりかけていたが、日の出はまだだった。昨夜雷を伴って激しく降り続いたあられのおかげで、辺り一面は昨日とは一変して白銀の世界になってしまっている。そのうちに空の真ん中から太陽がゆっくりと顔を出す。カンチャンジュンガは日が昇るにつれてその色合いを変えていく。たった一日歩くだけでこんなにすばらしい景色に出会えるとは驚きだった。

部屋に帰ると子供がモーニングティーを持ってきてくれる。文句のない朝だった。野菜と卵のヌードルを食べて7時半頃出発。雪に覆われた道も、実際に歩いてみるとそれほど滑らず、ゴツゴツした岩が露出する道よりもむしろ歩きやすいぐらいであった。しばらく歩いてチェックポイントで名前を登録して、分岐をネパール側の方に進んでいく。道は登山道に変わり、下り道は足にくる。9時半ガリバス着。紅茶を飲んで休憩して再出発。

まだ10時前だというのに辺りに霧が立ちこめてくる。カルポカリまでは400mUp程の急な登りがあり体力を消耗する。12時カルポカリ着。食堂でヌードルを注文すると、日本で食べるインスタントラーメンと同じものが出される。質素な昼食になったが、こんな人里離れた場所で食堂で昼食が食べられるだけでも十分贅沢だとおもいながら、持ってきたチョコレートを囓る。少し経ってから到着したスイス人夫婦にサンダクプーまでの近道を教えてもらって出発する。

近道の登山道を1時間ほど登ると、再びJeepable Road に合流する。ここからサンダクプーまではあと400mUpである。しかし勾配で見ると今回のルートの中でもっとも険しい道である。標高3600mのサンダクプーまでの道は徐々に空気が薄くなってきて、息も苦しくなってくる。空気の薄さはもちろん体力を消耗させるのだが、同時に精神的な余裕もなくなってくる。以前、人は3000mを越える環境では自分の弱い部分を露呈させるという、登山家の書いた文章を読んだことがあるが、まさにその通りで二人とも機嫌が悪くなり、ギスギスとしてしまう。

ひたすらつづら折りの道を登っていくと、ようやく急坂が終わって尾根沿いの道へと変わる。何度か休憩しながらさらに登り続けて、3時過ぎにようやくサンダクプーのTrekkers Hut に到着する。今日の宿泊客は昨日と同じスイス人夫婦とチェコ共和国から来た若者の2人組と我々の6人だった。皆で夕食を取った後に、ろうそくの光を囲んでラム入り紅茶を飲む。欧州からの4人がEUについて話しているのを聞きながら、ふと日本のこれからを考える。EUがグループを作り、東南アジアがグループを作ったとしたら、日本はどこと手を組めばよいというのか?